お姉ちゃんは小人を飼っている

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 運動会の日の朝、雲ひとつない空っていうのはまさにこのことだと言うくらい、晴れていた。 「桃、逆上がり頑張ってね! 見に行くから」  パパとママに送り出される。  私は通学路を歩きながら手のひらを見た。前よりも少し黒くなった私の手には、頑張った証拠の豆ができている。その豆は今はしっかりかたくて、前みたいに痛くはないよ。  できなかったらどうしようという気持ちが半分。今日ならできるんじゃないかという気持ちも半分。  教室につくと、みきちゃんが「頑張ろうね」って言ってくれた。私と同じ順番で、隣で一緒に鉄棒するんだよ。みきちゃんは最初は私と同じ三回チャレンジの前回り組だった。でも私が熱を出す前にはもう逆上がりができるようになっていて、ずっと私を応援してくれているんだ。  運動会が始まった。一年生の鉄棒はプログラムの真ん中ぐらいで、最後の六年生の組体操と並んで見せ場の一つになっている。 「桃! 頑張れ!」  最初の出番の徒競走の時に、保護者席で応援するパパとママをみつけたよ。  ふと、小人のことが頭にうかんだ。今日は小人たち、どこにいるんだろう。お弁当に隠れてパパたちと一緒にいるのかな。それともお姉ちゃんの赤白帽の中かな。  お姉ちゃんは徒競走で一番だった。やっぱりお姉ちゃんと一緒なんだ。小人たち、靴や体操服に隠れてるに違いない。  たぶんだけどね。
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