お姉ちゃんは小人を飼っている

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「桃、公園いくぞ! 逆上がりの練習だ!」  運動会一週間前になって、ついにパパに連れ出された。私はできなくてもいいって言ってるのに。    体育の時間、みんなが逆上がりをする中で、私は三回チャレンジして前回りで降りる。  クラスで逆上がりができないのは、あと五人くらいになっていた。でも、みんな練習を頑張っているから、もしかしたら明日は私以外全員できるようになってるかもしれない。  そりゃあ私だってやりたいけど、できないのは仕方がない。 「前回りでもいいのよ」って先生も言うし、私もそれでもいいって思ってる。 「頑張って、桃!」  お姉ちゃんは応援してくれるけど、私の気持ちなんてわかるはすがない。  自転車だって、お姉ちゃんは年中さんの時には乗れたのに、私は一年生になってやっとだよ。お姉ちゃんは何でもあっという間にできちゃうのに、私は何でもすごく時間がかかる。 「おへそを鉄棒から離しちゃダメ!」 「もっと足を高く上げて!」  私がチャレンジする度に、パパとお姉ちゃんが言ってくる。  わかってるんだってば。でもできないの。   頭の中では鉄棒をくるんってまわっているのに、体はちっともついてこない。  何回も鉄棒にぶら下がるうちに、手はどんどん痛くなってくるし、体もどんどん重くなる。  練習すればするほど、絶対に無理だっていう気がしてくる。  その日は一日中、鉄棒につかまっていたけれど、結局一度も逆上がりは成功しなかった。  お姉ちゃんの小人、一日くらい私のところに来てくれても良かったのに……
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