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「それはそうでしょう。 面倒なことは全部我々に押しつけて、自分は隠居でもしたみたいに、田舎で釣りをしているのですから。 まあそれは冗談として、これだけは陛下の決裁をいただきませんといけませんので・・」 ユウキはそう言いながら書類を差し出した。 俺はざっと目を通してサインをした。
「まあそんなに責めないでくれ。 やっと平和になったのだ、少しぐらいのんびりする時間があっても良いだろう」
「ええ、ですが、これからが大変なのですよ。 自覚していただかないと」
「なぜ、もう戦争も起きないし、後は各都市を復興させていくだけだろう」
「ふうっ。 陛下、もし陛下が突然お亡くなりになられたらどうなるとお思いですか。 また始まりますよ、次の皇帝の座を巡って王達の戦いが・・・」 ユウキは真顔になった。
「・・・・・」
「ですので、陛下には永く君臨していただかなければならないのです。 そうですね、千年ぐらいは生きてもらわないと」
「な、何だと。 そんなの無理に決まってるだろうが」
「無理だろうと何だろうと、お前がいなくなれば、また争いは起きるということだ。 皇帝は世襲できないのだからな」
「・・・・」
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