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「では、私は仕事がありますので戻ります」 そう言ってユウキはゲートを開いた。
「ああ、それと、もう一つ。 陛下はこの世界には大陸は一つとお考えですか?」 そう言うとゲートの向こうに消えていった。
(えっ、大陸が一つじゃないということ? そんなこと考えてもみなかった。 だがまてよ、エルム族の伝承に、今の人族は太古に別の大陸から渡ってきたとか言っていたよな。 それって、別の大陸から攻めて来ることもあり得るということじゃないか)
「エーーッ、そんなあ」 俺は全身から力が抜けた。
突然釣り竿が大きくしなった。
「陛下、引いています!」とホーリー。 俺は慌てて竿を取ろうとして駆け寄ったが、その時に川岸の草に足を滑らせて川に落ちてしまった。 丁度その時、テーブルを運んでいたハル達に笑われてしまった。
(くそっ、何だよ。 全然楽にならないじゃないか) 俺はそのまま水面に大の字になって浮かんだ。 まだ水は冷たかったが、何だかスッキリした。
(まあ、いいや。 まだまだ楽はさせてもらえないようだが、この仲間がいれば怖くはない。 やってやろうじゃないか)
見上げた空が、やけに青くて清々しかった。
完
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