指先に宿る熱

34/42
1060人が本棚に入れています
本棚に追加
/196ページ
 おずおずとベッドに腰掛けると、クローゼットを閉めたレウル様がこちらへ歩み寄った。肩が触れるか触れないかの距離で隣に座られる。 「怖い?」  そう問いかけられ、首を横に振った。  きっと、初めて私を押し倒した夜に怯えられたのを覚えているのだ。『誘ってみせて』と言われ、戸惑うばかりだったあの日。そそられないと切り捨てられた夜とは違う。  でも、窓からの月明かりは思ったよりも眩しくて、この先を想像すると羞恥と不安でどうにかなりそうだ。  その時、すっと目の前に手を差し出される。  何かの合図?  意図が察せないまま手を重ねると、そのまま優しく握られた。 「俺の手、冷たいでしょう?」  予想していなかったセリフだ。  たしかに、言われてみれば骨ばった指はひんやりとしている。思い返せばこれまで何度か手を繋いだが、いつもその手は冷たかった。  すると、色っぽく口角を上げた彼は、絡める指に力を込めた。 「すぐに触ったらびっくりさせちゃうだろうから、少しだけこうしていようか」 「このままですか?」 「うん。だから、俺の手がランシュアと同じ体温になるまでに心の準備をしてね」
/196ページ

最初のコメントを投稿しよう!