一日早い七夕

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出会ったのはちょうど一年前だ。 初めて会った時から彼女にはほかの人とは違うものを感じていた。 そのはずだ。彼女はほかの星から来ていた。 ぼくはあまりに彼女があまりに魅力的だったので、人生で初めてナンパをした。 どうやら、地球には一年に一度しか降りれない貴重な日らしい。 待ち合わせに遅れると急いでいる彼女に悪いと思いながら、このチャンスを逃したら二度と会えないと思い強引に引き止た。 そしてどうにかメールアドレスの交換をすることに成功した。 それから僕は毎日望遠鏡で彼女のいる星を眺め、会いたい気持ちをメールにしたため毎日送ることが日課になていた。 そんな彼女から昨日急にに会いたいと連絡がきた。 出会ってからこんなことは初めてだった。 それが七月六日。今日だ。 待ち合わせの場所は初めて会った公園だ。 少し早く来てしまった。 今日はよく星が見える。 まるで僕らは織姫と彦星のようだ。 一年前の彼女は、細身のワンピースから白い手足がすっと伸びていて、黒髪のロングヘアーをなびかせていた。 年頃の女性は一年でだいぶ雰囲気が変わるとよく言う。 この一年間で彼女はまた一歩大人の色気のある女性に成長してるのではないか。 流行る気持ちを抑えて夜の公園のベンチに座り彼女を思い待っている。 ガツガツガツ 靴の音が聞こえる。 音のする方を見ると 徐々にシルエットが近づいてくる。 「おまたせしましたー。」
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