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絶叫にも似た号泣をはじめたカミラの身体を抱きしめて、クロードは小声で呪文を唱える。
さきほどまでカミラを拘束していたカボチャの蔓がしゅるりと解け、彼女の両腕が自分の肩にまわされる。
「蔵人教授っ、あぁ、わたしは、彼方に、ひどい、ひどいことをした……!」
「……俺のこと、思い出したんだな」
「うん、思い、出した……約束、していた、のに……勝手に、逝って、ゴメン、ナサ……っく」
「忘れていた方が、幸せだったかもしれないぞ」
「そんな、こと、ない……教授がいたから、わたし……」
カボチャの蔓よりもきつく、まるで絞め殺さんばかりに互いに腕をまわして抱きしめあって。
うわぁあんと泣き叫ぶかつての教え子の涙を己の唇で吸い取りながら、クロードはやさしく告げる。
「俺の方こそ、ズルいことをしていた……無垢な君を自分色にしながら最後までさせなくて……最低な男だろ」
「教授は、悪くないっ……ただ、わたしがさみしかった……弱かっ」
彼女の謝罪など聞きたくないと、クロードはキスでその口を塞ぐ。
唇に蓋をされて、カミラは観念したように瞳をとじる――……
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