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むかしむかし、とある王国の伯爵家に一人の娘がおりました。
彼女は両親に愛され、美しい年頃の少女へ成長していきます。
ところがある日、流行り病で母親がこの世を去ってしまいます。
残された父親は、娘のために後妻を娶ることを決意します。
ところが娘の継母となった後妻には、ふたりの娘がいました。
胸だけが無駄におおきな水牛のような継母と彼女にそっくりな義姉たち。
血のつながらない義姉は、可憐な花のように美しい娘のことを快く思っておりません。
いつしか父親のいない隙を狙って彼女たちは娘を虐めるようになりました。名前も奪われ、『灰かぶり』という意味の『シンデレラ』と呼ばれるようになってしまいます。
シンデレラはひたすら耐えました。父親にチクったところで運命を変えることは叶わないとわかっていたからです。
それ以前に、シンデレラは父親が後妻と連れ子を迎えたことで、自分の境遇を悟ったのであります。
――そうか、わたしは絵本『シンデレラ』の世界に転生したのか。と。
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