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正面奥の玉座に座るのは、なんと囚われの女神エルイーザではないか。本来の主であるクラシウスは床に転がされ、既に虫の息となっている。
「こ、これは?」
「クックック。まんまと誘き出されたな。目障りな勇者の末裔よ」
「何ぃ!?」
「アタシが囚われの身を演じた理由は2つ! 兄と弟に近づきその力を奪うこと、そしてニンゲンの英雄を炙り出して始末する事よ!」
「何ぃ!?」
「見るが良い。偉大なる最強神の力を! この世の街すべてをブッ壊してやる!」
「や、やめろぉーー!」
ドォーーン。ドドドォーーン。そう口で効果音を発したのはクラシウスだ。
「クックック。これでお前が守るべき物は何も無くなったな、哀れなもんだ」
「チクショウ、許さねぇーー!」
ドドドド、シュババッ、バキィッ!
ズシャア……。
「馬鹿な、このアタシが……。最強神たるアタシがぁぁーー!」
一瞬のうちに撃破されたエルイーザが霞の向こうへと消えた。リーディスはついに勝利を収めたのである。
「やった。とうとう邪神を倒したぞ」
「やりましたね、リーディス」
「さぁ早く戻りましょう。凱旋ですよ勇者様」
「でもさ、もう帰る所もないし」
「よくぞ敵を倒した、見事である!」
「だ、誰だ!?」
玉座の裏からヒョッコリ顔を見せたのはクロウダ、もとい王様であった。彼は姿を表すなり、空になった玉座に腰を降ろした。
「こんな事もあろうかと、ずっと潜んでいたのよ」
「さすがは王様!」
「皆の衆、その働きや誠に大儀であった。実にあっぱれであるぞ!」
こうして
リーディス達の冒険は終わった
その道の途上は
決して平坦ではなく
払った犠牲も大きなものだった
だが彼らは傷つき、打ちひしがれる度に
際限なく強くなる
王国の未来は
一点の曇も無い程に輝いていた
まるで燦々と輝く太陽のように
◆ ◆ ◆
どうにかして本編も終わりを迎える事が出来た。果たしてリーディス達の決断は正しかったのか。プレイヤーを満足させるだけのコンテンツであったのか。答えは分からない。
今となってはスタッフロールに画面を委ね、舞台袖の裏側で祈るしか無かった。
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