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ショタだらけの異世界
私はこれで全てのショタキャラをコンプリートした筈だ。
今、私がやっているゲームはVRMMOの『ショタラブエターナル』で、エンドコンテンツとして毎月新しいショタキャラが増える、とても素晴らしい物だった。
しかし、時代の波か、はたまたネタ切れなのか、先月を持って更新が途絶え、明日を持ってサービス終了となる事が告知されていた。
私は旅行の為に取っておいた有給を全部つぎ込んで、未だ出逢えていなかったショタキャラ達をゲットすべく、数々のクエストをクリアしていった。
そして有給残りわずかの所で、最後のショタキャラを手に入れる事に成功した。
総勢五十名、およそ四年間続いたこのゲームも明日でやり納めとなる。
種族も一年毎に増えて、人間、エルフ、精霊、獣人とバリエーション豊かだ。
ショタキャラ其々に専用のクエストが設けられており、クリアするのに早くても一週間はかかる程ボリューム満点だ。
発売当初からやり込み続けた私が一つの極みに至った達成感と共に、もう明日で終わりと思うと焦燥感も込み上げてくる。
「あーあ、明日で終わりかぁ。次の新作話は聞かないし、少しでも多くのショタキャラが居るゲームを、ネットで探さないとな」
ゲームの中にあるマイホームの大広間で、全てのショタキャラを侍らせながら明後日からの事を考えていたら、運営からのメッセージが送られて来た。
中空に仕草でメニューウィンドを出すと、メッセージを確認する。
其処にはコンプリートに関するお祝いの言葉が書かれていた。
「へー、コンプリート出来たのって私だけかぁ、ちょっと優越感。・・・んん、続きがあるの?」
メッセージは二ページに別れていたので、フリックで続きを表示する。
其処には不思議な言葉が書かれていた。
《ショタだらけの異世界に興味は有りますか?》
『はい』と『いいえ』が選択肢として言葉の下で明滅している。
私は考えるまでも無く『はい』に触れる。
この日、私という存在が地球から消滅したのだが、誰も気付く所か認識さえされなくなっていた事は知る由も無い。
「あれ、私寝落ちしちゃってたのかな? でも、ログアウトしてないなんて如何してだろう」
安全性を配慮した設定で、生理現象や意識が無くなる際には必ず強制的にログアウトする様に出来ていた筈。
なのに今居るのは、ゲームの中のマイホーム。
「ショタキャラ達が誰も居ない? 私の許可なく部屋を出るなんて事も無い筈なんだけれど」
私のマイホームは五十人全員が住める様に拡張を重ねてそこらのマンション並みの部屋数になっている。
入り口から別空間に部屋が存在しているので外観は設定されていない。
フレンド登録するかクエストをクリアしない限り、私以外の者は一緒に入らないとマイホームには侵入出来ない様になっている。
「え!? 何でショタキャラ達の登録が、リセットされているのよ!」
メニューウィンドを出して確認してみれば、何と今迄散々苦労して集めた愛すべきショタキャラ達が未登録、つまりクエストをクリアしていない状態になっていたのだ。
それよりも、ログアウト項目が無くなっていた事に気付くのは絶望して流した涙が出尽くした頃だった。
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