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 シャワーでシーツの汚れた部分を予洗いすると、それを洗濯機に放り込む。  改めて熱いシャワーを浴びながら何度も深くキスをする。康孝はサチの腰にシャワーをあてると、中を掻き出すように丁寧に洗う。 「あれ」 「どうかした?」 「出血してる」  驚いた顔をする康孝にサチは今日何日?と何気なく尋ねる。  それを聞いてどうするのかと、康孝は一瞬首を捻ったが、合点が入ったようにサチの腰回りを丁寧に洗った。 「子供は何人欲しい?」  シャワーを済ませて身体を拭きあっていると、康孝が何気なくそう言った。 「そうね。できれば三人。由梨んち楽しそうだし」 「ああ、健次郎くんと由梨ちゃんのお子さん可愛かったね」  二人とも由梨に似て良かったよ、健次郎に似なくて正解とサチは悪戯っぽく笑う。 「俺もサチも一人っ子だもんね」 「康孝さんには妹がいるじゃない」 「そう言えばいたね」 「なにそれ」  笑って康孝の鼻を摘むと、半分でも可愛い妹でしょと康孝を諭した。  バスタオルのまま寝室に戻ると、サチは下着と着替えを取ってまた洗面所に向かう。  その間に康孝は着替えを済ませ、クローゼットを開けるとチェストの上に畳まれたシーツを見付け、もう乱れない戒めに、マットレスをベッドに戻してシーツを取り付けた。  サチがトイレを済ませて寝室に戻ると、康孝はノートパソコンを立ち上げてキーボードに指を走らせていた。 「コーヒーでも淹れようか」 「ああ、ありがとう」  目線をサチに向けて礼を言うと、またパソコンに向かってキーボードを叩いた。  サチはケトルで湯を沸かし、インスタントコーヒーをマグカップに入れ、湯が沸くまでダイニングの椅子に腰掛けて待った。  康孝がキーボードを叩く音を聞きながら、サチは眠い目を擦る。  ケトルの蓋が揺れる音で意識を戻すと、サチは淹れたてのコーヒーを寝室に運んだ。 「熱いから気を付けて」  デスクにコーヒーを置いてサチはベッドに腰掛ける。 「俺、しばらくここに居座っても良いかな」  マグを手に取ると、康孝は振り返ってサチに尋ねる。 「別に構わないけど、集中出来るの?」 「母さんが居るからね。あっちに居る方が落ち着かないんだよ」 「部屋も別だし、自宅の方が便利じゃない」  それに温泉に行きたいとか言ってなかった?とサチは康孝に尋ねる。 「あの人と数日でも過ごせば分かるよ。本当に台風みたいな人だから」  ゲンナリして康孝が溜め息を吐き出す。確かにイネスとは少ししか話をしていない。一緒に過ごしたらどうなるのか興味はあるが、康孝の顔を見る限り、楽しい様子ではなさそうだ。 「着替えとかどうするの?」 「朝になったら一度戻るよ」 「ついていこうか?」 「サチが母さんに捕まったら元も子もないよ」  康孝は苦笑いしてコーヒーを飲むと、サチには眠るように言ってまたパソコンに向かってキーボードに指を走らせる。  サチは飲みかけのコーヒーが入ったマグカップをサイドテーブルに置くと、横になってしばらく康孝の背中を見ていた。  キーボードを叩く音と時計の針の音が眠気を誘う。ドッと押し寄せる疲労感からサチはあっという間に眠りに就いた。
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