前編

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「あー、疲れたなぁ。」 僕は、雨芽 灯凜(あまめ とうり)、高校2年だ。 学校帰りだった。 僕には恋人がいるんだ。 僕と同級生の、晴良 輝助(せいら かがすけ)。 最近、何だか上手くいってない気がするんだ。 輝助の僕に対する態度がよそよそしいんだ。 何を話しても何か考え事をしてちゃんと聞いてくれないし、あまり話してもくれない。 それに、なかなか一緒にいれないのだ。 休日は用があるからとなかなか会えないし、平日も平日で気づけばどこかに行ってる。 何を聞いても話をそらして、不安だけが募るばかりだった。 「僕、嫌われちゃったの、かな。」 ザァァァー 僕のボソッと呟く音がそうだと肯定するように降りそそぐ雨に、余計に気分が落ちる。 雨は嫌いじゃない。 でも、落ち込んでる時に降る雨は好きじゃない。 雨の音が、自分の気持ちと合わさって、どうしても雨の音につられて気分がより 落ちてしまうからだ。 「気分がいい時は雨、好きなんだけどなぁ。」 そんな時だった。 ヒュゴォーー! 「ぅゎっ!て、あぁああー!傘が!」 突然の突風に持っていた傘を飛ばされた。 それに僕は思わず声を出し、飛ばされた傘を追いかけて行った。 タタタタタ━━!
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