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抗がん剤療養時に購入したもの。
【ちょっと宣伝】
別枠で連載している『空から響く声』シリーズ、ゆっくり更新しております。
天涯孤独の女性・水本葉月ちゃんと、プロのうたい手であり「言霊師」、ジェンダーレスな雰囲気を纏う藤宮拓人さんの物語です。
イメージイラストは「あまは」さんに描いていただいています。
あまはさんの描く、美麗なイラスト、ぜひご覧くださいませ♪
さてさて、がんサバイバーシリーズのお話しに戻りましょう。
本編の中でもちょこちょこと書いていますが、改めてここに書いてみますね。
療養中、必要なモノってふだんは使わないモノも多いです。が、それでも私が必要だと思って購入したモノなどについて、ちょっとお話ししたいと思います。
抗がん剤治療初回の時に、薬剤師さんからお話しを聞いて、即座に思ったのは『脱毛』だったんです。
実際、私が使う抗がん剤治療のための点滴には、脱毛が必ず起こるという副作用があります。薬剤師さんが渡してくださった書類には、ウィッグのカタログも数社、含まれていました。
「う~にゅ……」
医療用ウィッグって、3万前後から数十万するものまで、実に様々なものがあります。人毛もあれば、そうじゃないものもある。カラーリングや髪型も色々で、特に女性であれば、やはりもとのヘアスタイルにできるだけ近づけたいっていう思い、ありますよね。
薬剤師さんが説明を終えて病室を出て行ってから、しばらくカタログを眺めていた私ですが、ふっと思ったのが、
「いや~、私は……やっぱり、いらないかなぁ…」
でした。
偏屈で変わり者と言われることもある私ですけれど(苦笑)、ちょっと興味を持ったのが、
「自分がスキンヘッドになっていく過程がみてみたい」
という、実に変わった興味もありました。
スキンヘッドになることなんて、めったにあることじゃない。だったら、それすら、楽しんでしまってもバチは当たらないかな……と(このあたり、理解してもらえないことが多いんですよねぇ…)。
あとは、やはりお値段的に難しいかなと思ったこと、そして、仕事に復帰したとしても、人様の前に出る仕事ではないというのが一番大きかったからです。
趣味柄、ストールや帽子が多数、手元にあったことも幸いしていました。で、この後、私はやたらとストールと医療用帽子(ワッチキャップ)を購入することになります(笑)
今では、ストールは様々な種類をあわせても40本近くありますし、ワッチキャップも10数種類……帽子も10種ほど揃っています。まぁ、嫌いじゃないし、なにかと便利ですからね~。
のちのち、ワッチキャップは、父も欲しがりました。でも……プレゼントする前に父は亡くなってしまいましたが、棺の中に私が直前まで被っていた、エスニック調のワッチキャップを入れてあげました。
「これ、持っていってよ、父ちゃん。欲しがっていたもんね。私がかぶっていたものだけれど……いいよね。ごめんね、もっと早くプレゼントできていたらよかったんだけれどさ」
今頃、あっちでかぶってくれているかしらね。帽子の類はあまり好きじゃなかった父だけれど、なぜ、ワッチキャップを欲しがったのかな……
ちなみに、治療中のウィッグに関しては、今はレンタルしてくれるシステムもあります。ウィッグのメーカーによっては、月額制で色々と手厚いフォローをしてくれるところもあります。女性だけではなく、男性用もありますよ。
医療用帽子=ワッチキャップもAmazonさんとか楽天さんとかで検索をかけると、おしゃれなモノがたくさん出てきます。選ぶ楽しさ、あります。私は今でもワッチキャップ、愛用しております。
抗がん剤だけではなく、他の病気などで毛髪が失われてしまった方も利用可能ですよ。ネットで検索をかけてみてくださいね。
髪が抜けていくと、もうひとつ、気になってくるのがシャンプー。
ふだん使っているシャンプーやトリートメントは、刺激が強く感じられます。そこで購入したのが、某社の頭皮ケアのシャンプーです。ちょっとお値段はしますけれど(メーカーや成分などにもよりますが、だいたい、1本3000円前後から上の価格ですねぇ)、やはり専用に作られたシャンプーは、敏感になった頭皮にも優しいです。随分助けられました。
それから、髪が抜けていく時に必要なのが、飛散防止のヘアキャップ。これも大事なんですよ~。これを被ってから帽子やストールを巻かないと、えっらいことになります。お掃除用・粘着シート必携!毎朝、起きると、まずは粘着シートを転がして抜け毛を掃除することが日課となりました。
ですが、脱毛って徐々に抜けていくと思ったら大間違いで、ある日、突然、ゴソッと抜け落ちます(本編にも書いています)。それはそれは見事なものです、ええ。
私の場合は、初めての抗がん剤治療から14日目の朝、それまではパラパラと抜けてくるなあと思っていたら、その日の朝、違和感を覚えて、指でつまんで引っ張ってみたら、筆の先のような感じで、ごっそり、抜けました。梳いても梳いても、抜ける抜ける抜ける……さすがに大泣きしましたわ。
「髪は女の命」
なんて言葉が、昭和の時代にはありました(ええ、私は昭和の世代です)。今でこそ、あまり言われることも……表だって言われることは少ないかもしれませんが、やはり女性にとって髪というのは、また特別なものです。
あの瞬間は、今でも忘れていませんよ……ええ。
このほか、毛髪関連以外で必要だったのが、歩く時の支え。つまり「杖」でした。
最初はどうしたものかと思ったのですけれど、抗がん剤治療が進むにつれて、手足の痺れや関節痛、足の裏の感覚まで麻痺してきて、気を抜くと膝からがっくんとチカラが抜けて地面に倒れたり、ちょっとした段差も躓いたり、石に躓いたりすることが増えてきます。
私は、パートナーがいるわけではなく、ふだんはひとりで行動するのが常ですから、やはり杖が必要だなと思って、京都に本店を持つ、杖専門店の新宿支店でそこそこのお値段のモノを購入。以来、今も愛用しています。5段階に折り畳めるという、あまり見かけないタイプのモノです(今はそのお店でもみかけないかもしれない…)。
ハンドル部分はさくらの木でできていて、使えば使うほど、手になじんでいきます。今でも握力は弱いのですけれど、手になじんだ感触が、とても心強く感じられます。
専門店だけにあって、こちらもアフターケアがしっかりしていますよ。
あ、そうそう、加湿器!
手術したのが12月中旬。療養はそこから始まりましたから、室内の温度と湿度についてはかなり慎重になりました。
それまでは、水に浸したタオルを部屋の片隅にかけておくだけにしていましたけれど、それだけでは間に合わない…というか、タオルを捻る(しぼる)、ということそのものができなくなっていくのがわかったので、1回目の抗がん剤治療を終えてから、小さな加湿器を購入しました。
今、部屋で使っているのは2台目です。
がん治療と療養がきっかけで、本格的に購入を始めたのが、アロマオイルです。それまでもちょいちょいと買っていたのですが、この時をきっかけに、某社のきちんとしたアロマオイルを買うようになりました。
抗がん剤治療中の気持ちの切り替えというか……私は、柑橘系・メントール系の香りが好きなようで、療養中も気分が凹むとハンカチなどにしみ込ませて、そばに置いておくようになりました。4年経つけれど、今も数種類、常備しています。
高純度精製水(これはのちのち、CPAPでも大量に使用することになります)や、無水エタノールも購入。虫よけスプレーもどきも作ったり、部屋の消臭にも利用したりと、今も大活躍してくれていますよ~。
入院・手術・治療費が莫大になるのは事実で、あとはなにかと細かいものが必要になることも多いです。
こういった類の書類……特に商品購入時のレシートや領収書はしっかり取っておいて、のちのち、医療費控除の額に加えることになります(除外されるものもありましたけれどね)。
ホント……貯金と保険って大事です(痛感)。
本編の中でも書いていますけれど、社会保険制度の偉大さを痛感しましたよ……ええ。
書類を書くのに苦労したけれど(手指の痺れで、ペンが「ふつうに」持てないんですわ。だから、妙な持ち方をして書類を書いていました)、いかんせん、すべて自分がやらないとならないので、必死でしたねぇ。
あと、意外なところでの出費は「服の類」(笑)
一気に18キロ近く、体重が落ちたので、入院時と退院時の体型のビフォーアフターがすごいことになっていました(当時の話し、ですけれどね)。
ふだんから私服がエスニックファッションということもあって、それほど買い直すことはありませんでしたけれど、それでも思っていたより多く、買い直しをしたものもあります(特に下着の類です)。
食事関連では、チルド食品・冷凍食品の類の偉大さも痛感。
あとは、お惣菜屋さん・お弁当屋さんとか…このあたりも、とてもお世話になりました。
この時、思ったのは、
「自分が出来ることをやればいい。無理をすることはない」
ということです。
今も、それは思っていて、出来る限りは自分で食事を作りますが、めんどくさい!とか、やる気がない時は、お弁当屋さんのお持ち帰りを利用することも多いです。
現に、手指の痺れは今も残っていて、長時間、包丁を握っていることができません。キーを打っていても指先の感覚がない時もあります。仕事柄、キーを打ち込みながら、お客様とお話しするのですが、指先の感覚がおかしいので、打ち損じも多い。タイピングスピードは落ちています(とはいっても、平均よりは上のようです、はい)。
まあ、それでも、復帰したての頃よりは、だいぶラクですけれどね。
ちょっと、話がズレましたけれど。
病気をすると、その分の出費が痛い…というのを、この病気で痛感。
その後、今も同時進行しているCPAP(睡眠時無呼吸症候群)とか…
健康が一番。
だからこそ、健康診断、がん検診、ふだんの生活、大事です。
早期発見、大事です。
何度でも書きます……!
早期発見、大事です。
(続きます)
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