もう一度 家族

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後ろから杖をつく父に手を差しのべて歩く母の姿を見ていた。 そして海岸全部に聞こえる位の声を出し 10年ぶりに呼んだ 「おとうさ~ん❗️」 振り返ったのは母 今まで見た事のない穏やかな表情の母… その表情で父への愛情が痛い程わかった お父さん、あなたのお陰で母も私も強くなれました ありがとう… そう呟いた綾香がその日に書いた手紙には 10年間の父への思い… 父には知り得ないつらかった10年の生活 恨みつらみを書きつづったもだった そして綾香の言葉を聞いた母が心の中で呟いたのは… 「綾香、早くいい人と結婚してね あなたを共犯者にしたくないから…」 夕陽の光の道は水面を伝い稲毛の浜へと繋がっていた そこに美しい絵画の様に3人の影が溶け込んでいる。 それぞれの思いを知らず もう一度家族を始めようとしていた。
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