55人が本棚に入れています
本棚に追加
後ろから杖をつく父に手を差しのべて歩く母の姿を見ていた。
そして海岸全部に聞こえる位の声を出し
10年ぶりに呼んだ
「おとうさ~ん❗️」
振り返ったのは母
今まで見た事のない穏やかな表情の母…
その表情で父への愛情が痛い程わかった
お父さん、あなたのお陰で母も私も強くなれました
ありがとう…
そう呟いた綾香がその日に書いた手紙には
10年間の父への思い…
父には知り得ないつらかった10年の生活
恨みつらみを書きつづったもだった
そして綾香の言葉を聞いた母が心の中で呟いたのは…
「綾香、早くいい人と結婚してね
あなたを共犯者にしたくないから…」
夕陽の光の道は水面を伝い稲毛の浜へと繋がっていた
そこに美しい絵画の様に3人の影が溶け込んでいる。
それぞれの思いを知らず
もう一度家族を始めようとしていた。
最初のコメントを投稿しよう!