夏の木漏れ日に

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 その場に流れる空気と一体化でもしていたのだろうか、恵一は、徐々に自分の周りに音が響いてきて、じわじわと実体を取り戻していくように感じた。  こめかみにほのかに冷ややかさを感じる。汗をかいているのかもしれない。でもこれは、暑さのせいだろうか。とにかく、理由や理屈が思い浮かばない。そんな風に、考えているのか感じているのか分からないままに、恵一はベンチから立ち上がり、そしてその子供の方に向かって歩き始めた。
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