幼気な仔羊

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 六畳の自室には勉強机とクローゼットと本棚、そしてシングルベッドが置かれている。  洋太と同じく真智子も一人っ子であり、8歳の男の子が遊ぶようなおもちゃは家にはない。  マンガなら読めるかもと思ったが、本棚に並べられているのは大抵が少女漫画なので勧めなかった。  自室に連れて入ったがする事がない。  15歳の真智子にとって、まだ寝る時間にしては早かったが、洋太は8歳。そろそろ寝かせなければ。  さぁ寝なさいと言っても、ベッドへ入ろうとしない洋太。  仕方なく部屋の電気を消して真智子が一緒に横になり、2人で布団を被った。  横になったはいいが、洋太は仰向けのまま目を開けており、ボーッと天井を見つめていた。  真智子はしばらくその様子を眺めていたが、一向に寝る気配がない。  突然両親と離ればなれになり、寂しくて堪らないのを何とか我慢しているのだろう。  そう思った真智子は、じゃあ私が甘えさせてやればいいんじゃないかと思い立つ。  真智子は右隣で仰向けになっている洋太の首に腕を回して腕枕をした。  そして真智子の方を向くようにして洋太を抱きかかえ、左手で背中をポンポンと撫でてやる。 「大丈夫、お姉ちゃんがいるから寂しくないよ?」  そう囁くと、洋太がビクッと肩を震わせた。  やっぱり泣くのを我慢しているんじゃないか。  そう思った真智子は、洋太をより強く抱き締めてやった。  涙を拭う為にか、洋太が何度も何度も真智子の胸元に顔を擦り付けて来たが、しばらくすると寝息を立てて眠ってしまった。
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