星の呼ぶほうへ

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「なあ、知っているか。あの星」 「なんだ、なんの変哲もない星じゃないか」  目の前にあるのは岩石でできた惑星だった。 「昔、あの星に事故を起こした宇宙船が墜落したんだ。乗員は即死だったらしい」 「よくある事故じゃないか」 「それがちがうんだ。どうもあの星には、その死んだ乗員の幽霊が出るらしい。なんでも惑星の上を、なにかにとりつかれたように歩きつづけているのだとか」 「まったくわけがわからない。あの星に思い入れなどないだろう。幽霊なのだから、さっさと空でも飛んで地球へ帰ればいいだろうに」 「まあ、所詮うわさ話さ。本当かどうかはわからない」  操縦士が宇宙船の速度をあげる。星がゆったりと流れていった。 「しかし、ずいぶん地球から遠くに来たものだ」 「ああ、あれだけまぶしかった太陽も、この星空のなかにあってはどこにあるかもわからない」
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