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外の静かな世界に、みんなの楽しそうな笑い声だけが遠くで聞こえる。もう天体観測とか絶対してないでしょ、とちょっとだけ笑みが漏れた。
早く泣き止んでみんなの所へ向かいたいけれど、ちょっと暫くは無理そうだ。
大事だった恋の終わりを私は一樹に委ねてしまった。
それが申し訳なくて、いろんな感情があふれて涙が止まらない。
ティッシュも無いし困った、そう思っていた時。
「_____枡川って星みて泣くとか、そんなタイプだったの。」
「っ、」
自分だけの空間のような錯覚がしていたから、急に後ろから聞こえた声に驚いて声も出なかった。
「せ、瀬尾…」
振り返ると、窓にもたれかかるように気怠げに立つ男。
今まで特別、よく会話を交わしてきた記憶は無い。
飲み会で席が近くなれば勿論話すけど、瀬尾はどちらかと言うと聞き役だから、あまり自分から積極的に話しかけてもこない。
私も同じタイプだから、私達2人の関係性はこんなもんだろうと特に不思議には思ってこなかったけど。
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