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「しかも号泣。」
近づいてきて、膝を抱えるように座っていた私の隣に腰を下ろす瀬尾を見つめることしかできなかった。
ふわりと靡く綺麗な髪も、真っ直ぐな鼻筋が際立つ綺麗な横顔も、同期女子の中のイケメンランキングで断トツでトップだったのも頷ける。
「……別に星みて泣いてるんじゃないんですよ。」
「あ、そうなんだ。枡川ってロマンチストなのかと思ったわ。」
「…綺麗な星で感動して流す涙にしてはあまりに垂れ流しだと思わない?」
見てこの顔、と鼻声で自分を指差すと、瀬尾は目を丸くして、それから「自分で言うのかよ」と吹き出した。
いつも涼しい顔してるから、そんな風にも笑うんだと私はその意外性に驚く。
「確かに酷い顔だった、ごめん。」
「…謝られるとなんか凄い腹立つな。」
口を尖らせてそう言うと、瀬尾はやはり楽しそうに笑う。
「そうかー、まあ泣きたい時は泣いとけばいいんじゃない。知らんけど。」
「……適当だなあ。」
この人、私が泣いている理由も特に聞いて来ないんだけど一体何しにきたのか。
でも深刻そうに聞いてこないのは、有難いかもしれない。
今は別に、涙の訳を話したいわけじゃない。
自分でこの寂しさを消化していくために、流れる涙だから。
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