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給湯室の鏡にうつりこんだ自身の顔に、少し驚く。
「あんな言葉よく真剣に言えるな」
頬の赤みを手の甲で頬を冷やしながら、大きな溜め息をつく。
コーヒーをいれると、早足で社長室に戻った。
社長室に戻ると、社長がふてくされたようにソファに腰掛けて資料に目を通している。
テーブルに静かにコーヒーを置くと、社長と目があった。
黒々とした力強い瞳が、俺を捕らえて離さない。
俺はコーヒーを置いた姿勢のまま固まって、社長の瞳に引き込まれてしまいそうになる。
まるで愛おしいものでも見ているかのように、優しい社長に困惑しながらも、目をそらすことが出来ない。
社長に頬を撫でられて、私は我に返り、社長の手を振り払うように立ち上がる。
「っ社長、会議の時間です」
「…分かった」
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