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社長は早めに仕事を終わらせると、素早く帰る準備を始める。
「雪、何か食べたいものはあるか」
「特には…」
「そうか、じゃあ俺の気に入ってる店に行こう」
一緒にタクシーに乗り込み、着いたお店は高級感の漂う和食のお店だった。
通された席は個室で、外には整えられた草木と池があり、少し穏やかな気分になる。
社長が素早く注文し終えると、一つ一つ丁寧な料理が運ばれてくる。
どれも美味しそうで、いつの間にか私は表情が和らいでいく。
ちらりと社長を見ると、優しい表情で俺に笑いかける。
「今は俺と雪しかいない、何も気にしないでゆっくりと食べてくれ」
「はい」
料理は優しい味でとても美味しく、食欲がなかったのが嘘みたいに感じた。
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