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「ぶかぶか」
Tシャツの生地を触りながら、そう呟いてしまう。
私も小さい方ではないのだが、社長の体格の良さに嫉妬する。
少しの間、風呂場に座っていたのだが、ずっとその場にいる訳にもいかず、重い足どりでリビングに向かう。
社長は私を待っていたかのように、立ち上がるとペットボトルの水を手渡して、ソファに座るように促す。
「雪遅かったな、具合でも悪いのかと思ったよ」
「…大丈夫です」
広いソファなのに、社長は触れるくらい近くに座って私のことを心配そうに見つめる。
社長のことを気にしないようにして、ペットボトルの水を一口飲むと、自身の喉が乾いていたことに気付く。
ゴクゴクと水を喉に流し込んでいると、水が口から溢れて首筋を伝っていく。
後で拭こうと思いながら、水を飲み続けていると首筋に生暖かくざらっとした感覚がする。
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