嫉妬

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「雪はいつも分からないね」 あの人から言われた言葉が、今も頭に残っている。 徳永雪(トクナガユキ)は周りから氷のように冷たいと言われている。 私は表情を出すのが恥ずかしくて、顔が強ばってしまうだけなのに…。 「おはようございます、今日の予定ですが…」 「雪、今日も綺麗だ」 社長の神田佑樹(カンダユウキ)は真剣な顔をして、私にそのような事を言うものだから、呆れてしまう。 私は表情を変えずに、冷静に対処する。 「そういう言葉は好きな女性に言うものですよ」 「俺は雪のことが好きなんだ」 「もうその冗談は聞き飽きました、今日は朝から会議がありますので資料はここに置いときます。」 何か言いたそうな社長を無視して、私は給湯室に向かう。
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