嫉妬

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長い沈黙の後、社長はわざとらしく咳払いをすると、 「…少しだけ一緒にいてくれないか」 そう言って俺を遠慮がちに私を見る。 怒られると構えていたが、思ってもいない言葉に顔が緩み、微笑んでしまった。 私は小さく頷くと、社長の表情は柔らかくなり、先程までの不機嫌さが嘘のように無くなる。 私が側に立っているだけなのに、社長は嬉しそうでなんだか可笑しかった。 私と社長の間には優しい空気が流れ、ほっこりと胸が温かくなった。 この日から数日間、社長はとても忙しく飲食も忘れるほどだ。 大きなプロジェクトは本日で問題なく終わりを迎え、社長は嬉しそうに身体を伸ばしている。
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