星空に泣く

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「ねぇ、要…。」 「……何?」 「要、ちゃんと学校行ってる?ご飯も毎日ちゃんと食べなきゃダメだよ?」 「…なんでそんな事言うの?しょうがないから毎日学校も行ってるし、ご飯も食べてるよ。暑くて食欲は湧かないけど。」 「そう?……ならよかった…」 話し掛けようと、隣に座るしゅうへ視線を向ける。 「そんな事よりさ……」 そう言いかけて、全てを理解した。 さっきまでハッキリと存在していたしゅうの姿は、白く霞始めて、薄暗い空間に異様な光を放っていた。 「しゅう……やっぱり、お前死んでんじゃん…。」 止めたはずの涙が流れて来る。 「怖い?……ごめん。何か久しぶりに要に会ったら、言えなかったよ。」 ゆっくりとしゅうの手が俺の頬を拭う。 「……ふざけんなっ……ふざけんなよ…お前、何で死んじゃったんだよ⁈俺が……あの日、待ち合わせに遅れたから?学校でブスってみんなの前で言ったから?勝手に日記読んだからか?それとも…」 「違うよ。全部違うよ。」 もう言わないでとしゅうは両手で俺の口を塞いで、 「違うよ…」 俯きながら何度も言った。 「じゃあ何で⁈」 分からなくて叫ぶ声はだんだんと大きく、酷く暴力的にぶつけてしまう。 こんなはずじゃ無かった。 もっと言いたいこと、聞きたい事がある。 半分泣き叫ぶ俺を重みのないしゅうの腕が包み込む。 「ごめんなさい。」 遠くに聞こえる蝉の声が悲しく聞こえた。
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