星空に泣く

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星空に泣く

後悔のない人生を送って来たか? 俺の答えはNoだろう。 果たしてこの質問に一体何人の人が『はい』と答えられるだろうか? 伊波しゅうは俺の一つ年上の幼馴染みで、初恋だった。 小学校五年生の夏に父親の転勤で俺のマンションに引っ越して来た。 初めてしゅうに会った時、俺は驚いた。 女だったからだ。 長い髪に女の子らしい顔立ちに優しい雰囲気は俺のタイプそのものだった。 そんな俺の浅はかな名前に対する偏見をしゅうは見抜いたのか、俺の顔を見ると少し不機嫌になった。 天文学者だったしゅうの父親は夏になると近くの山に登っては一晩中、若しくは連日研究室に篭って帰ってこないちょっと変わった人だった。 俺はそんなしゅうの父親に博士とあだ名をつけると、すごく喜んだ。 夏休みになると、博士に連れられてよく山を登った。水が澄んでいて、心無しか町にいた時よりも冷たくなった空気をスッと吸い込むと肺が一気に冷たく感じた。
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