星空に泣く

2/11
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「しゅう〜、宿題手伝って‼︎」 ある日、しゅうに会いに行くと興奮して電話で誰かと話をする博士が居た。 口の前でシーッとしゅうは構えて、小さい声でこう言った。 「今日は十年ぶりの流星群が降るんだって。要も行こうよ。」 その夜、初めて見る流星群にドキドキしながら俺は山を登った。 いつだろうと待ちきれなくて、何度も何度もテントから出たり入ったりを繰り返して居ると、しゅうが俺の手を引っ張った。 「待つのも天文学では大事な事だよ。」 「そんな事言ってもさ…だって空から星が降ってくるんだぜ?早く見たいじゃんか!」 「せっかちな人は星は見れないの。宿題、早く終わらせた方がいいと思うよ?」 「……ぐうの音も出ない。」 こう言うとしゅうはふふっと笑って、再びノートに目を落とした。 テントの置き時計が11時半を回った頃だった。博士が満面の笑みで俺たちを呼びに来た。 テントを出ると、世界が変わった。 藍色の世界にキラキラと輝く星は幻想的で俺の心を一瞬で奪っていった。 その中でも強く光っては流れ、消えてを繰り返す流星群はただただ綺麗だった。 俺の隣ではしゅうが流星群に向かって何やらお願い事をしていた。 「何してるの?」 「願い事。」 「何お願いしたの?」 「え〜話したら意味ないのに…」 俺の願い事は…… 何だっただろう…?
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!