星空に泣く

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商店街を横切ってちょっと走った所に小さな神社がある。 その横の細道は細すぎて車では入って行けない場所で、小さい頃は絶対に一人で歩いては行けないと大人に言われたのだった。 そんな細道をスクーターで入っていくと、枯れ始めた紫陽花の上で金木犀が蕾をつけ始めていた。 墓地の手前でスクーターを停めた後、俺は深く深呼吸を一回するのだった。 そして奥から二番目のお墓の前に、持ってきた花束をそっと供えて話しかける。 「しゅうさ〜ん…今日もめちゃくちゃ暑いんですけど…どうにかなりませんかね〜?」 返ってくるはずのない返事を待つのはもう慣れた。 高校二年の夏、伊波しゅうは帰らぬ人となった。 そして俺の後悔は永遠にこの世界を彷徨う事になった。 「なぁ、しゅう…俺、しゅうに聞きたい事が沢山あるんだけど…どうしたら良いかな?」 泣いた。 人の目も気にせずに、泣いたんだ。 肺が痛くなるほど、大声でしゅうの名前を呼んだけど届くはずも無かった。 真っ白になったしゅうの亡骸を、掬い上げてもその身体からは何も感じる事は出来なかった。
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