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本島からも視認出来るほどの離れ島。 船着場は毎朝毎夕、本島との連絡船が行き来していた。 船着場のすぐ横手にある古びた喫茶店は船を待つ利用客の溜まり場となっていた。 「おじさんアイスコーヒー」 今年23歳になる咲希は毎朝いつもお気に入りの窓際に座り、時折スマホを弄りながら外の景色とアイスコーヒーを堪能していた。 カウンターに座るここの店主の息子、高校生の聖也は本島に登校する前必ず朝食を店で食べてから乗船する。 そしてチラチラと咲希を意識するように視線を送っていた。 咲希は一足先に船着場に向かう為支払いを済ませ店を出た。 「母さん。咲希さん最近、キレイになった?」 「何?気になるん?」 からかい気味ににんまりと笑う母をスルーする様に聖也は母に尋ねた。 「なんか雰囲気が違うっていうか、よくわからんけど」 母は思った反応を返さない息子に気分を削がれた。 「つまらん子やねぇ。前にちらっと聞いたんやけど咲希さん最近化粧品変えたんやって。なんや会社の先輩に勧められたとか。ちょっと前まではあんまり気にしてへんでニキビやらで肌荒れも酷かったんやけど、なんや心境の変化でもあったんかなぁ」 「ふーん…」 「それよりあんたも早よ行かな乗り遅れるで」 「はーい」 聖也も慌ただしく鞄を持ち店を出て船着場へと向かった。 ​───半年後。 いつもの様に学校から帰り喫茶店のドアを開けると目の前に圭子がおり、聖也に微笑むと入れ違いで店を出ていった。 「圭子さんがこの時間に店に来るなんて珍しいね」 「圭子ちゃん今度結婚するんやって。うちはほら遠縁に当たるからね、わざわざ招待状持ってきてくれたんよ」 聖也は後ろを振り返り圭子が出ていった店をのドアを見つめた。 「…結婚するんだ」 ​────二ヶ月後。 ウエディングチャペルが鳴り響く教会の階段をフラワーシャワーで祝福されながら、新郎と圭子が幸せな微笑みを終始うかべてた。 聖也も階段から少し離れた場所からその光景を眺めていた。 親戚筋と話し込んでいた母が聖也の隣に立った。 「…綺麗やな」 聖也がぼっそっと呟いた。 こちらを見ない聖也に母はそっと微笑み、聖也の終わった淡い初恋に次は頑張れという思いを込めポンポンと背中を軽く叩いた。 母がまた挨拶回りに聖也の元を離れると、聖也の背後から声がした。 「聖也くん?ひさしぶりやね」 振り返るとそこに居たのは本島の学校の寮に入ってる為島を離れていた圭子の妹、咲美がいた。 「咲美?」 「うん。中学卒業以来やね。高校卒業したら島に戻ってくるからそん時はまた宜しくね」 にっこりと笑う咲美はやはり姉妹だからか圭子の笑顔と同じで綺麗だった。
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