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「でもね、復元した映像を見て思ったの。莉依って、お父さんにそっくり」
「え?」
「あの人が撮った映像なんじゃないかって思った。それくらいそっくり。そっくりの、天才だわ。スケボーをしている男の子が技を決める瞬間なんて、お父さんのよりもすごいって思えたくらい」
「お母……さん」
初めてお母さんに映像についてちゃんと褒められたことが、あまりに嬉しくて。
私の目じりから、温かい涙が零れ落ちる。
「私……。お母さんが私に撮影なんてやってほしくないんだってずっと思い込んでて……。でも、それでも私は大好きだからやめられなくて……。だから、もしコンテストで一位を取ればお母さんも認めてくれるかな?って。次のコンテストで一位にならなければ、やめるつもりだった……」
「――そうだったのね。今までごめんね、莉依。あなたは撮影をやめることなんて考えなくていいのよ。だって、こんなにきれいな映像が撮れるんだもん。やめるなんてもったいないわ。これからはお母さん、莉依がいい映像を撮れるように目いっぱい応援するね。天国のお父さんだってきっと莉依のこと、頑張れって言ってる」
「お母さん……!」
涙を流しながらそう言った私のことを、お母さんはそっと抱きしめる。
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