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こんな風に触れ合ったのは、きっと小さい時以来だったと思う。
あの時はお父さんもいたけれど、今はお母さんひとりになってしまった。
だけど私はふたり分の温かさを、今間違いなくもらっている。
「でもね。私は次のコンテストで一位を取れるよう頑張るよ。厳しい世界だもん。きっと一位を取らないと、この先やっていけないから。全力をつくすよ」
「――うん、頑張ってね」
私が決意の言葉を述べると、お母さんはそれを柔らかく、広い心で受け止めてくれたようだった。
――よかった。
お母さんとちゃんと話が出来て。
お母さんの本心が分かって。
私の思いを伝えられて。
碧葉くん。
碧葉くんの、おかげだよ。
私は、あなたの映像で必ず一位を取る。
誰よりも高く、誰よりも空に近いところまで、華麗に飛ぶあなたの絵で。
――必ず。
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