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でもそれも、今日で終わり。
昨日気づいたばかりなのに、今日で終わりにしないといけない。
だってあなたには好きな人がいるし、私に興味なんてない。
パーカーは今日ちゃんと返そう。
そして最高にかっこいいあなたの映像を撮って、この恋は終わりだ。
*
いつものスケートボード場には、たくさんの人が集まっていた。
スケートボードに乗って最後の調整をする選手たち、大会の運営者らしき大人たち。
フェンスで囲まれた場内の外には、応援に駆けつけたらしい人たちが人だかりを作っている。
碧葉くんの応援に来たらしい、見たことある顔の子達も大勢いた。
きっと、私と同じ学校の子達だ。
碧葉くんの人気っぷりを改めて実感してしまう。
人ごみをかき分けてスケートボード場に入ろうとする私。
しかし途中で、あまり会いたくない人たちと出くわしてしまった。
「――あ」
思わず声を漏らして立ち止まってしまう。
私のビデオカメラのデータを、全削除したと思われる女の子ふたり組だったから。
「……げ。今日もいるんだ」
「最悪ー」
これ見よがしに悪態をつかれる。
ニヤニヤと、底意地悪そうな笑みを浮かべて。
嫌な気持ちになったのは一瞬、それも少しだけ。
なんだかどうでもよかった。
また性懲りもなく小さいことしてるなあとすら思えた。
こんなことに気を取られている暇はない。
私には今日、絶対にやらなきゃいけないことがあるんだから。
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