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でも私には、二位では単純に喜べない事情があるんだ。
お母さんは、私が映像の撮影に熱中することをあまりよく思っていない。
高校を卒業したら、映像学科のある大学や専門学校に行きたいのだけど、そのことは言えていない。
普段から私がビデオカメラをいじっていると、そんなことばっかりしてないで勉強しなさいって小言を言ってくるから、絶対に反対されるだろう。
まあ、お母さんの気持ちも分かるよ。
映像についてちゃんと学んだとしても、プロの映像カメラマンになれる人なんてほんのひと握り。
生まれ持っての才能と、さらに運を味方につけないと、到底無理な世界なんだ。
だから私は、どうしてもそのひと握りになる必要があった。
自分でも、高校生しかいないコンテストくらい優勝できなければ、将来ビデオカメラひとつでご飯なんて食べられないだろうって、思っているし。
でも、そんなの無謀だよって笑われるような気がして、このことは誰にも言っていなかった。
「それにしてもさあ。莉依と一緒に表彰されてたスケボー部の一年生、かっこよかったよねえー!」
校門に向かって歩きながら、美菜はうっとりとした顔をして言った。
「え……。ごめん、全然気にしてなかった」
そういえば、校長先生に表彰されるとき、誰かも一緒にステージに上がってきていたっけ。
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