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――なんて、全部美菜が普段言っていることを、なんとなく覚えていただけだった。
あまりそういうことに興味のない私は、スケボー部のふたりの顔も名前も知らない。
でも、スケートボード場はとても視界が開けていて、海や空のきれいな映像を撮るのに打ってつけのスポットだった。
二年生になってからは忙しくて行けてなかったけど、久しぶりに今日撮影をしに行ってみようかなあ。
次のコンテストで、一位を狙えるような映像を撮らなきゃいけないしね。
「でもさ美菜。そんなにかっこいいかっこいい言っていいのー? 彼氏いるのにさ」
校門の前で、美菜の彼氏の涼くんが立っていた。
爽やかに笑いながらこちらに手を振っている。
隣のクラスの彼のことを私はよく知らないけれど、結構かっこいいし、優しそうだと思う。
「それとこれとは別なのっ。芸能人にキャーキャー言ってるのと同じだから!」
「ふーん。そういうもんかなあ」
「そういうもんです! 涼ちゃんのことはちゃんと愛してるもーん。莉依も少しは男の子と遊んだら? 結構かわいい顔してんだから、その気になれば彼氏のひとりやふたりや三人や四人くらい……」
「いやいや、彼氏はひとりでいいかなあ……」
呆れ気味にそう言うと、美菜はおかしそうに笑った。
なんて言いつつ、映像を撮ることに忙しい私は、今はそんな存在ひとりもいらないけれど。
「それもそうか! じゃ、私は涼ちゃんと帰るから! じゃーね、バイバイ!」
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