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言うこときけって、どういうこと!?
「――はあ」
少し前のことを思い出すと、反射的に出てしまうため息。
私はさっき体育館で行われた全校集会で、高校生映像コンテストで二位に入賞したことを、ステージで表彰された。
そう、二位になったことを。
参加者の多い大会だったし、二位だって誇れる結果なのかもしれない。
だけど、一位になりたかった私にとっては、負けも同然の二位なんだ。
「莉依、どうしたのー? 今さっき表彰されたばっかりのに、浮かない顔してない?」
そう話しかけてきたのは、同じクラスで親友の美菜。
大きな嘆息をした私の顔を、不思議そうにのぞき込んできた。
今はもう、下校時間。
昇降口では、校庭に向かおうとしている運動部の部員や、これから遊びに行くらしい女子グループなんかで賑わっていた。
「だって私、一位になりたかったんだもん……」
「ええー! 二位でもすごいじゃん! 大きなコンテストだったんでしょ⁉」
「それは、そうだけど」
「ステージからは聞こえなかったかもだけど、みんなだって『すげー』とか『さすが彩木さん』なんて言ってたよ! 莉依、一年の頃も何回か表彰されてたもんね。素直に喜んでおきなって!」
「……うん」
なんて、褒めてくれるのはありがたいし、私が撮って編集した映像を二位に選んでくれたコンテストの審査員には、もちろん感謝の気持ちだってある。
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