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※※※
「うそ……! ニキビだけじゃなく、小鼻も毛穴詰まりで黒ずんでる」
帰宅して久々にじっくり鏡に向かってみれば衝撃の事実。
慌てて角栓除去のシートパックを顔中に貼りまくって、黒い悪魔の根絶を試みた。だがしかし。
(なんで? 全然きれいになったように見えない)
鏡の中に映るのはツヤも張りもない黒ずんだ顔。そこに新旧のニキビがドヤ顔で君臨している。
(誰、このオバサン……さすがにコレはまずい)
その時だった。
──ガチャッ! ガチャガチャッ!
(えっ!? やだ、誰!?)
玄関のドアノブが乱暴に鳴らされている。まるで今にも鍵を破壊して入ってきそうな勢いで。
(まさか強盗!?)
息を殺してそうっとインターフォンのカメラを起動して外を見ると。
(……は? ナニやってんだコイツ!)
私はすぐさま玄関へ行ってドアを開け放った。
「ちょっと! やめてよ美磨!」
「……あらぁ?」
ゆるふわロングの髪に超厚塗りファンデ、こってり口紅。隣人で幼なじみでもある笠原 美磨が座った目をして突っ立っている。
「鍵が合わないのぉ。そしたら表札が遠野 明日美って」
「あんたんちは隣! 酔ってるのね?」
「やぁだぁ……中学ん時のジャージ穿いてるとかあり得ないんですけど。明日美、マジ終わってる。あはは!」
「うっさい。あんたの顔のが終わってるよ、化粧崩れひどいし」
美磨は中学からずっと同じ学校で就職先も同じという腐れ縁。昔はよく遊んだけれど、今は控えめに言って超絶仲が悪い。
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