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通信記録A-Ⅰ-№緊急連絡丨時刻 6##5ー6##7丨
●〈宇宙センター本部管制塔〉から〈緊急連絡〉を受信しました。●
〈機体A-Ⅰ〉の通信プログラムを強制起動しています…………
〈機体A-Ⅰ〉の通信プログラムを強制起動しました。
〈流星型宇宙機動隊A〉でプログラムを同期しました。
……………………
通信準備完了。
〈宇宙センター本部管制塔〉に接続しています…………
***通信開始***
丨時刻 6##5丨
――――――――――――――――――――――
《宇宙センター本部管制塔》
●〈緊急連絡〉●
先程の宇宙会議の会議中、本国において、非常に規模の大きい地震が発生しました。二次災害なども含めた被害の詳細は現状定かではありませんが、未だ類を見ないほどの壊滅的なものであることは明らかです。
この事態が後押しとなり、各国の内政はますます悲惨さを増し、大国Rを含めた6つの国が崩壊したとの情報もあります。
この事態を踏まえて宇宙会議では、緊急会議を開き、以下のような決議を行いました。(ここでは機動隊員諸君の任務に直接関わるような、特に重要事項であるもののみ示します。)
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◇◇人類大移住宇宙計画国際会議決議◇◇
この度発生した大規模な災害により、人類文明の崩壊という最悪のシナリオが現実になろうとしており、あらゆる手段を用いてでも被害を出来る限り最小限に抑えない限り、これを阻止することは出来ないというのが、宇宙会議に加盟する各国の共通認識である。これにあたって、惑星Xへの人類大移住計画をすみやかに遂行することが、我々が最も求める所である。
(中略)
よって、急遽、従来の人類大移住宇宙計画の内容を一部変更することとなった。これは、一人でも多くの人民の命を救うための変更であり、我々と我々の星のための変更である。ここに、人類大移住宇宙計画の変更点とその概要を記す。
○変更点1
・変更される条項
惑星Xとの交戦について
・変更点
惑星Xの住民との平和的交渉は、行うことができない。
・概要
惑星Xへの接近時、全てまたは一部機体の流星擬態が失敗し惑星Xの住民に機体の存在が観測された場合、あるいはどの機体の流星擬態も成功し惑星Xの住民に機体の存在が観測されなかった場合、どちらの場合であろうとも、機動隊員は管制塔の許可のもと、すみやかに機体の全機能を開放し、惑星Xの主要都市・主要国を特定し、あらゆる手を用いてでもそれら破壊すること。反撃への対応・戦略については、従来の計画を参照すること。
○変更点2
・変更される条項
増援について
・変更点
増援は必要に応じて行われる。
・概要
現在任務遂行中の機動隊からの要請があれば、残存する全世界の国々の宇宙軍事設備を総動員し、出来る限り現在任務遂行中の機動隊のサポートをする。
○変更点3
・変更される条項
人民及び物資の輸送の開始について
・変更点
人民及び物資の輸送は、惑星Xのあらゆる環境の整備を待たずして行われる。
第一機動隊(機動隊A,B)が惑星Xに到達次第、すぐに各国の宇宙設備を用いて人民及び物資の輸送を開始する。現在任務遂行中の機動隊は、輸送機が惑星Xに到達するまでに、惑星Xの保有する戦力をほとんどゼロに近いものにし、また出来るだけ人民が生存可能な安全な環境を確保しておかなければならない。
(中略)
不幸なことに、我々はまことに無力であった。我々は我々自身の手で、故郷の星を壊してしまった。我々は、我々を守れなかったのだ。
前述した通り、これは人類としての我々の生死が懸かった、歴史上最も重大で悲惨な出来事である。しかし我々はこのような事態にも、すべてを現在任務遂行中の機動隊員たちに委ねることしか出来ない。機動隊員たちのことを思うと、懺悔に耐えない思いである。
今回の決議を知れば、機動隊員たちは我々を憎み、恨むかもしれない。
我々はそれに一切の弁解をするつもりもない。弁解のしようがないことをしてしまったことは、我々も十分承知している。
その上で我々は、機動隊員たちに心より懇願する。どうか、我々の愚かさを許して欲しい。そしてどうか、愚かな我々のために、惑星Xを手に入れて欲しい。
我々は、君たちを信じている。
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以上が、先程行われた緊急会議の決議です。機動隊員諸君には以上の決議内容を踏まえて、通信を出来る限り迅速に行うよう心がけてください。
どうか、計画を成功に導いてください。
機動隊員諸君の無事を祈っています。
通信を終了します。
丨時刻 6##7丨
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***通信終了***
丨時刻 6##7丨
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