サービス接遇編 chapter08 対人技能-接遇知識~対人心理~-

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サービス接遇編 chapter08 対人技能-接遇知識~対人心理~-

 ある日の部活終了後… 「さぁ美琴、帰るわよ」 「ちょっと待ってよ~お姉!」  部活を終えた私と妹の美琴は、帰路についていた。 「それにしても、今日は煉先輩、進路活動で進学フェスタに行ってるから、一緒に帰れなくて残念ね、美琴」 「べっ、別に残念なんかじゃないもん!」 「(ああ、お姉にはああ言ったけど、残念すぎる…)」 「煉先輩がいれば、今日オープンのあのカラオケボックスに、三枝さんも誘って行ったのにね」 「そうか…あのカラオケボックス、今日オープンだったんだ…」 「あのカラオケボックスは「高校生は1時間無料」とか「事前予約でバースデーサービス実施」とか、いろいろなサービスがあるから大人気よね!」 「私は何よりも、あそこの店員さんの神対応に、いつも驚かされるんだ!」 「神対応?」 「例えば、カラオケボックスのドリンクバーって、炭酸とかジュースの原液とかが切れててそれっぱなしの所が多かったりするけど、あのカラオケボックスは、15分に1回のペースでドリンクバーに目を配ってるみたいなの!」 「あなた、タイマーでも持っていったの?」 「ドリンクバーの横に貼ってあったチェック表を見ただけだよ。15分に1回、見回りに行っていれば原液や炭酸が切れることはほぼないでしょ!?」 「確かに。ドリンクバーって、設置してあるドリンクから好きなものをチョイスできて、何杯でもおかわり自由なところに価値があるのであって、好きなものを好きなときにおかわりできないドリンクバーに、ドリンクバーの価値はないわよね」 「そこまで言わなくても…」 「でも、15分に1回ドリンクバーを見回っているあのカラオケボックスは…」 「客が望んでいるであろうことを、客に立場になって行っている」 「ってことなんだろうね!」 ***  サービス業に従事するものに求められる対人技能の中に「接遇知識」というものがあり、その中には更に「対人心理」を理解すること、というものがあります。  「対人心理を理解する」とは、即ち「お客さまの気持ちや思いを察すること」であり、それはお客さまの動きを観察することで、より良いサービスの提供を行うきっかけを得ることができます。  また、対人心理を理解する(=お客さまの気持ちや思いを察する)ためには… ・お客さまのためにより良いサービスを提供するのだ」という役割意識を持つ ・お客さまの気持ちを察してスムーズに行動に移し、普通の域を超えたサービスを提供する ・よく気が付き、気の利いたサービスを提供する ・お客さまが望んでいることを、お客さまの立場になってする ・お客さまが期待している以上の満足を提供する  といった点に注意しながら、お客さまの動きを観察すると良いとされています。  真琴さんと美琴さんが褒めていたカラオケボックスは、正に対人心理を理解した対応を心がけている、ということが言えるでしょう。 *** 「おう!真琴と美琴じゃないか!?今帰りか!?」 「煉先輩!進路フェスタはどうしたんですか?」 「ちゃんと行ってきたさ。そこで手に入れた資料を、今ロッカーに置いてきたところだ。」 「先輩!今日駅前の、あのカラオケボックスオープンしたんです!これから一緒に行きませんか!?」 「そうだな…それじゃ、3人で行くとするか!!」 「やったー!!」 「それじゃ、善は急げですね。早速行きましょう!」 chapter9 に続く -検定問題にチャレンジ!-  レディースファッション店に勤務する大木妙子は先輩から「よいサービスをするには、お客様の動きを観察することが必要」と言われた。そこで大木は、動きを観察するとどうしてよいサービスができるのかを次のように考えた。中から『不適当』と思われるものを一つ選びなさい。 (第35回 サービス接遇実務検定3級より) 「1.お客さまの動きを見ていれば、お客さまの尋ねたそうな様子がすぐに分かるから。」 「2.商品の見方の様子で、買うつもりのお客さまと見るだけのお客さまを見分けられるから。」 「3.お客さまを見ていれば、何かの拍子にお客さまと目が合って話すきっかけを作りやすいから。」 「4.お客さまが見ている品や目線を見れば、求めている物の見当がついて話し掛けやすくなるから。」 「5.同じ品をずっと見ているお客さまには、近寄って類似の品も一緒に紹介すれば喜ばれるだろうから。」 「不適当」な選択肢は… ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 「2.商品の見方の様子で、買うつもりのお客さまと見るだけのお客さまを見分けられるから。」 -解説-  「動きを観察していればよいサービスができる」というのは、お客さまの望んでいることの見当がつき、対応することができるからです。買う客かどうかを見分けられても、お客さまが望むよいサービスにはつながりません。観察することの見当が違っているため、不適当ということになります。
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