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サービス接遇編 chapter11 対人技能-話し方~接遇用語~-
ある日曜日。私は妹を連れショッピングモールを訪れていた。
「お姉とモールに来るの、何だか久々な気がする」
「そうね…半年振り位かしら?」
「んで…私はLIZ ○ISAに行きたいんだけど…」
「そう言うと思ったわ。私は、その後で○nk Rougeに行きたいから、付き合ってよね!」
「分かってるって!○nk Rougeには私も行きたいし!」
数分後…私と美琴はLIZ ○ISAの前に居た。
ガラス張りのショーケースに釘付けになる美琴。
どうやら、ケースの中にお目当ての商品があるようだ。
「すいませ~ん!!」
「は~い!今行きますよ~」
「すいません。待たせちゃって…呼んだのは、あなたたちかしら?」
「はい!私です!!このショーケースの中の、これを見せて欲しいんです!」
「分かったわ……………えっと、これかしら?」
「………」
数十分後…
「はいっ!こちらが商品です!!また来てくださいね♪」
「ショップのお姉さん、ありがとう!!」
「いや~この腕時計、前から欲しいなぁ~って思ってたんだ!安く買えて良かった♪」
「…ねぇ美琴。あの店って、前からあんな感じの接客対応だったっけ!?」
「えっ!?」
「いや、愛想は良かったんだけど…いくら私たちが高校生だからって、あのしゃべり方は「なし」かなぁ、と思って…」
「確かに…この前、紗代と、たまたまここで会った煉先輩と来た時に接客してくれた店員さんは、私たちにも「敬語」を使っていた気がするけど…」
「あの店員さんが「新人店員」で、「接遇用語」を知らなかった、ってことかしらね…」
***
「接遇用語」とは、お客さまに対して発する丁寧な言葉遣いのことを言います。
「笑み浮かべ 話す言葉は トゲだらけ」
とならないよう、サービス接遇スタッフは接遇用語の基本を押さえておく必要があるのです。
今回、真琴さんたちを接客した店員が、本来どのように接すれば良かったのか、真琴さんと美琴さんが検証するようです…
***
「まず、最初にあの店員さんが言っていた「は~い!今行きますよ~」だけど、これは「はい、ただ今参ります」「はい、少々お待ち下さい」が、正しい言い回しになるわね」
「じゃあ、次に言っていた「すいません。待たせちゃって…呼んだのは、あなたたちかしら?」は、どんな感じになるんだろう?」
「「お待たせして申し訳ありません。お呼び頂いたのは、お客さま方でしょうか」って感じかな?」
「だったら「分かったわ……………えっと、これかしら?」は「かしこまりました。こちらでよろしいでしょうか?」って感じ?」
「そうなるわね!」
「んで、最後の「はいっ!こちらが商品です!!また来てくださいね♪」は「お待たせ致しました。こちらが商品となります。ありがとうございました。またお越し下さいませ」って感じだね」
「この前、国語の授業で「敬語」についてやったんだけど、基本的にお客さまには「尊敬語」を使ってコミュニケーションをすればいいってことだよね!」
「そうね!ただ、普段から意識して使っていないと「いきなり正しい敬語を用いて会話はできない」から、先生や先輩には普段から敬語を意識して話をしていないといけないわね!」
「先生や先輩なら、間違った敬語を使った時に指摘してもらえるから、社会人になる前の予行練習にはうってつけ、という訳だね!!」
***
真琴さんたちが会話の中で言っていたように、敬語を用いた会話は、普段から意識して行っていないと、なかなか定着しないものです。
しかしながら、敬語を用いた会話術は「就職」をすればすぐにでも社会から求められる技術の一つでもあります。
今回、真琴さん達が指摘していた言葉以外にも…
「ありがとうございます」
「恐れ入ります」(「すまないが」「申し訳ないが」の丁寧な言い回し)
「さようでございます」(「そうです」の改まった言い回し)
「どちらになさいますか」(「品物はどれにするか」の丁寧な言い回し)
「どのような」(「どんな」の丁寧な言い回し)
「どなたでも」(「誰でも」の丁寧な言い回し)
「いかがでしょうか」(「どうですか」の丁寧な言い回し)
「それほど」(「そんなに」の丁寧な言い回し)
「いらっしゃいましたら」(「いたら」の丁寧な言い回し)
「おっしゃる」(「言う」の丁寧な言い回し)
「失礼いたします」(お客さまに問いかけたり、謝ったり、見送りする際に使う丁寧な言い回し)
「承ります」(「引き受ける」「聞く」などの丁寧な言い回し)
などが、サービススタッフに求められる基本的な「接遇用語」と言えるでしょう。
さて、そうこうしている間に、真琴さんたちは次の店に到着したようです。
***
「さぁ、○nk Rougeに着いたわ。」
「なんか店員さんの言葉遣いの話をしながらだったから、商品よりも店員さんの言葉遣いの方が気になっちゃうかも!」
「いらっしゃいませ!どうぞ、ご覧くださいませ!!」
chapter12 に続く
-検定問題にチャレンジ!-
次の『』部分を、意味を変えずにお客さまに言う丁寧な言い方に直しなさい。
(第35回サービス接遇実務検定3級 記述問題より)
「1.3番の番号札を、a『持っている人』、b『いましたら』カウンターまで c『来てください』」
「2. a『待たせました』。何か b『分からない』ところは c『ありますか』。」
それぞれの『』部分を正しく言い換えると…
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「1 a 『お持ちになっている方(お客さま)、お持ちの方(お客さま)』」
「1 b 『いらっしゃいましたら、おいでになりましたら』」
「1 c 『お越しください、おいでください』」
「2 a 『お待たせいたしました』」
「2 b 『ご不明な、お分かりにならない』」
「2 c 『ございますか、おありでしょうか』」
-解説-
「お客さまに言う丁寧な言い方」とは、即ち敬語表現の中の「尊敬語」に分類される言葉と、「丁寧語」に分類される言葉です。
「尊敬語」は相手の動作を敬う敬語表現(いる→いらっしゃる 等)で、「丁寧語」は「お」「ご」などの言葉を先頭に付け、言葉を丁寧な言い回しにする敬語表現(飯→ご飯 茶碗→お茶碗 等)です。
この2つ以外にも、自分の動作を謙って表現することで、結果的に相手に敬意を払おうとする「謙譲語」という敬語表現(行く→参る 等)もあります。
「尊敬語」と「謙譲語」がごっちゃにならないよう、分からない敬語表現は今一度確認しておきましょう。
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