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次に明桜の顔が見えた時には私の肩に明桜の学ランがかけられていた。
「目に毒……それ着て隠して……」
明桜は真っ赤な顔をしてそっぽを向いている。
私まで顔が熱くなりそうだ。
「ありがと……あ、でも」
肩にかけられた学ランの袖を見てふと気づく。
「明桜の方が私より小さいから、これ着れなくない?」
「あ!」
2人で顔を見合わせて、それから大笑い。
「あー、もう、僕ってダメだなあ」
明桜は「にゃはは」と照れ笑いを続けた。
私は学ランを肩から下ろし、胸の前で抱き締めた。
━━━暖かい。
幼いあの日、僕がお父さんになると抱きついてきた明桜の暖かさが思い出されて、胸の中まで染みてくる。
「明桜、ありがとう」
私が言うと、大きな目をクシャッと閉じて明桜は微笑む。
その顔を見て、思った。
わたしは
明桜が好きなんだ。
とてもとても好きなんだ、って。
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