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Episode1
ずっと、私には関係ない事だと思ってたんです。恋愛とか彼氏とか引っ込み思案な私には一切無縁だと思ってたんです。
けど高2の春に私にとっての「春」が訪れました。
「あ、宮沢さんおはよ!」
「おはようございます、湊くん」
爽やかな笑顔で挨拶してくれるのはクラスメイトの湊 翔琉くん。席替えで近くになったのをきっかけに挨拶程度をする仲になりました。
元々女子校に通ってた私にとっての男子と挨拶するなんてかなりの進歩。ましてや彼はいわゆるモテ男で、女子からの人気もすごく高いのです。イケメンで、優しくてスポーツもできる……。
私が恋に落ちるのもそう時間はかかりませんでした。
席に荷物を置き、バスケシューズを持って彼は教室を飛び出しました。バスケ部は毎日朝練があって大変そうです。
「おはよ、茉莉」
「梓沙ちゃん!おはよう」
そう言って私の隣の席に荷物を下ろすのは高めのポニーテールがトレードマークの井上梓沙ちゃん。すごく積極的な性格で、人見知りな私にも気さくに話してくれて今では1番の友達です。
「朝来るの早いんだね」
「そうかな?」
そういうと梓沙ちゃんは私の顔を見て子供のような無邪気な笑みを浮かべて
「湊のこと、見にきたの?」
と耳元でささやいてきました。
「……えっ」
「顔真っ赤だよ、分かりやすい」
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