六月二十七日、日曜日、梅雨の合間の暑い日

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 ……いやいや、気を遣いすぎているのは、こっちの方だろ。  なにを恐れる必要がある。相手はたかが中学生の男の子だぞ。そして俺はその彼女の父親だ。いわば会社の社長と平社員みたいなもんだ。もっとでーんっと、堂々と構えていればいいんだ。ほらっ、行け。俺! 「お、お待たせ~……。  あっ、そうだ。ちょうど俺、昨日出張から帰ってきたばっかりでさ。 お土産たくさん買って来たから、よかったらどうぞ」  ……だ・か・らっ!俺のばか!!  勝手に動く右手は、娘のために買ってきたあの子の大好物、萩の月を彼に差し出していた。  あぁ、勝手に数を減らして、娘に怒られる……。  しかし、それを聞いて、今までぎこちない顔だった彼の表情は、ふわりと崩れた。 「あ……聞いたことがあります、好きだって。  仙台まで行かれていたんですね。おつかれさまでした」  ほう、なかなかレア度が高いあいつの好きなものを知っているとは、なかなかやるな。  しかも萩の月が仙台銘菓だと知って、さらに俺を労ってくるとは。こいつ、さすが、賢そうな顔をしているだけある。 「あ、ありがとう。  あ、えっと、遠慮しないで食べててよ。甘いものは好き?」  そう聞かれた彼は、ぱっと、顔を明るくさせた。 「はいっ、大好きです」  きゅん。
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