君と未来を

Bさんの場合

　バイト先のコンビニでもその話題でもちきりで、タイムカードを押して勤務に入ろうとしたらオーナーが来て「もう店を閉める」と言った。

　なんで？と思ったけれどオーナーは瞳の光を失った暗い顔で
「だってみんな明日死ぬんだから」
と言う。

　私は「言われてみれば確かにな」と思った。

　家に帰って友達とチャットしていたらいつの間にか電話になっていて、2時間ぐらい喋った。

　私は「全然実感が湧かないね」と言った。
　友達は「来世でもまた友達になろうね」と言っていた。
「生まれ変わったら、他の惑星(ほし)でね」と言い合って電話を切った。

　足元を見た。
ああこの星がなくなっちゃうんだなあと思ったら急にゾッとした。

　そしてさっき切った友達との電話を思い出す。
「私は後悔したくないから、好きな人に告白してから死ぬ」と言っていた。

　私はスマホをじっと見た。
私は、何を伝えたら後悔しないで死ねるだろう。