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腹が満ちた所で、またしてもぼんやり考えた。
俺って1人で死ぬのかな。
スマホを見た。
もうそろそろ通知のラッシュは終わった。
みんな誰かといるのかな、それとも1人でいるのかな。
気になってまたネットの世界で探りを入れる事にした。
1人の人が多くて安心したような、そうでもないような気持ちになった。
全然眠くならないので、スマホを充電器に繋ぎながらずっと誰かの話を見ていた。
最後だからと告白しては玉砕する人がたくさんいる中で
『俺は最後の日の幸せを勝ち取った』とか
『もう死んでもいいくらい嬉しい』と言い残していなくなる人もいた。
きっと最後を過ごす誰かを見つけたのだろう。
俺は、どうだろう。
告白、という単語を目にした時、浮かんだ顔が一つだけある。
だけど、今更あの日の約束なんて覚えていないだろう彼女に連絡するのはかなりの勇気がいる。
綺麗な思い出のままで終えたい自分と、それを否定したい自分。
葛藤から目を逸らしている内に、日付が変わった。
その時、スマホの通知が知らせた名前は、今まさに自分が浮かべていた顔だった。
ベッドで横になっていた体を起こして両手でスマホを握りしめる。
まさか。
当てが外れた時の心の負担を思ってまさかな、とあまり期待しないように震える指でスマホに触れる。
心臓は、これ以上ないくらい存在を主張している。
ああ、生きているな、と見当違いの事を少し考えた。
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