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君が住む町は僕のところの隣町。
「ここなのうち」
町では有名な立派なお寺の前で立ち止まって
空に浮かぶ雲でさえも映しそうな
澄んだ目で僕を見つめた君。
「結構近いんだね」
「ん?何が?」
「僕の家と」
「神尾くんの家って?」
「はら、橋の向こうに煙突見えるやろ?」
「うん」
「あの煙突の下くらい」
「そうなんだ」
「うん」
夕闇が二人を包んで
その場に立ち尽くす僕は
このまま時が止まれば良いのにーーー
確かにそう思った。
「今度、うちに遊びに行ってもいい?」
その言葉に時だけじゃなくて
僕の思考までもが動きを止めた。
「あ、うん」
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