♯20.人間になって得られたもの。

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♯20.人間になって得られたもの。

 翌朝、ノックの音で目が開いた。ベッドに横たえていた体を慌てて起こし、「はぁい」と返事をする。  ドアノブを掴んで開けると、カムイさんの側近の方がにっこりと笑みを浮かべて立っていた。昨日より十歳老けて見える事から、吸血時間を過ぎているのだと思った。 「おはようございます。昨夜はお眠りになられましたか?」 「……あ、はい。少しだけ」 「そうですか。これより厳然(げんぜん)の間へ参りますのでご支度願えますか?」 「はい、あの。今、起きたばかりで。五分だけ待って貰っても……?」 「構いません」  申し訳程度に会釈し、一度扉を閉めた。  ーー白翔もまだ寝てるよね。  ソファーで膝を曲げて横になる彼へ近寄り、思わず顔が(ほころ)んだ。  白翔は規則正しい呼吸を繰り返し、スヤスヤと眠っていた。こんな姿を見ると起こすのが可哀想に思えてくる。  ーー寝顔、可愛いな。 「白翔、……白翔」 「……ん〜」  優しく肩を揺り起こし、何度か声を掛けるとぼんやりとした眠気まなこが私を捉えた。 「おはよう。迎えの人が来てるから部屋を出るよ?」  白翔はパチリパチリと瞬きし、目を(こす)った。 「ん、わかった」
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