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黒の愚者と白の聖者
セラの驚愕した表情に動揺を隠しきれない、
冬夜と刀亞
そんな2人の様子を察したのか、セラは冷静な口調で口を開いた
セラ『すまない。いきなり、あんな物が出たら驚くのは当然だな。
気を取り直して、次は刀亞、やってみて貰えるか?』
刀亞『えっ?あ、はい!』
刀亞が魔法陣へと近づく
セラ『(さっきの冬夜が触れた際の魔法陣の
反応の仕方...まさかとは思うが刀亞までも
という事は無い...よな...)』
刀亞『い、いきます!』
刀亞が魔法陣に触れた瞬間、
パァッ
部屋の中全体が、白い光に包み込まれた
刀亞『えっ?!何か間違えたっ?!』
冬夜『この光はっ?!』
セラ『そんな...これでは、言い伝え通りに...』
冬夜『(セラさんの様子がおかしい?
さっきの俺の時といい、刀亞の時といい、
何か問題でもあるのか?)』
しばらく経つと、白く輝いていた光は段々と輝きが和らいでいった
刀亞『と、冬夜っ!
こ、これで良かったんだよね?!
私、何も間違ってないよねっ?!』
刀亞は慌てて冬夜の元へと駆け寄る
冬夜『と、とりあえず落ち着こう。
多分、セラさんからも何か話があると思うから。』
刀亞『う、うん...』
2人はセラに視線を向けた
セラは1人で何かブツブツと喋っていた
冬夜『あの...セラさん?』
冬夜が問いかけると、セラはハッと我に返った様だった
セラ『度々申し訳ない。
とりあえず、2人は試験に合格した。おめでとう。』
刀亞『よく分からないけど、良かったね!』
冬夜『え、ああ、うん。
その、今の試験は何を試したんですか?』
セラ『この試験では、2人の特性を見させて
調べさせてもらったんだ。』
刀亞『特性って何なんですか?』
セラ『特性とは、その者が持つ個性のこと。
そして、その特性にはレア度という物が存在する。
レア度は上から、ロイヤル、ハイナンバー、
ロウナンバーに分けられる。
ただ、2人の特性はちょっと特別なんだ。』
冬夜『特別、ですか?』
セラ『2人の特性に関しては、測定不可。
ただ...』
冬夜『ただ?』
セラ『1つだけ言えることがある。
それは、2人とも特異な存在ってことだ。』
刀亞『得意...私は料理が得意です!』
冬夜『刀亞...その得意じゃ無いと思うよ。』
刀亞『へっ?!』
セラ『おっほん、2人が魔法陣に触れた際に、黒い煙と白い光が放たれたのはわかるな?』
刀亞『あ、はい!』
セラ『まず、白い光の方だが、これは聖女の力を持っている事を示している。
どんな時でも、己が信じる物の為に戦う事が出来る素質だ。
そして、黒い煙の方なのだが...』
セラは一瞬、何かをためらうような顔をした
冬夜『黒い煙は何なんですか?』
セラ『人道から外れし者と呼ばれている。』
冬夜『人道から外れし者.....』
刀亞『(人道...って何っ?!)』
セラ『だが、悪く捉えないでもらいたい。
これは、あくまでも、そういう人物が過去にいたというだけの話だ。
実際に、人道から外れるかとは言い切れないのだよ。』
冬夜『はい...』
セラ『とにかく、2人とも試験は合格したんだ。
下の階に行き冒険者登録証を貰うといい。』
冬夜『ありがとうございました。』
刀亞『ありがとうございました!
じゃあ、行こっ!冬夜っ!』
刀亞は冬夜の袖を引っ張り、下の階へと降りていった
セラ『白の聖者に黒の愚者か...あの2人の道が分かれる事がない事を祈る他ないな。』
セラは酒瓶を手に取ると、それを飲み干した
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