ことのはじまり

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そして、ここにも一人。 この法令に大反対な女性が。 大手企業に勤める29歳独身、 一ノ瀬 春呼(いちのせ はるこ)である。 「あっあぁ~っ!!疲れた...!! もう、ほんと部長、私をこき使いすぎよ...。まぁ、おかげさまでビールがうまいっ!! け~どねっ(笑)ケラケラ~っと」 ビールを片手に、フラフラ~っと自宅に帰る様子のOL。 「ほんっとにやってられないわよ... なんなのよ、あの法令は...!格差婚っ!? なんじゃそりゃっ!! こんっなにストレス溜めて、なんとか頑張って、本当にやっとのことで稼いでるのに、貧乏人のメンズとしか結ばれないなんてっ... うぅ...ううぅ...(涙)」 ビールを持つ反対の手には、バッグを肘にかけながら、髪の毛をかきあげ泣いている。 「やってられなぁーーーーいっ!!!」 天に向かって両手を広げ、叫んだ三十路手前のこの女。 Theoryのグレーのパンツスーツに身を包み、Cartierのタンクの腕時計を着けた手にはCELINEの黒のバッグを持っている。 そして、足元はChristian Louboutinの黒のパンプスだ。 いかにも高級品ばかりを身に付けている。 髪の毛は、黒に近い茶色のロングヘアをしており、目鼻立ちもハッキリとしている。 出来るキャリアウーマンという感じだが、 今はただの酔っぱらいだ。 プ~ラプラッと電信柱に当たりそうになりながら、歩いていると自宅マンションに着いたようだ。 エレベーターで4階を押し、玄関までなんとかたどり着いた。 おぼつかない手で、ガチャガチャッと鍵を開け、そのまま玄関口に倒れ込んでしまった。
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