ことのはじまり

4/7
前へ
/12ページ
次へ
どうにか自力でここから出られる術はないか?と頭を巡らせたが、真っ裸で泡だらけの女1人で出来ることなど、たかが知れている。 「あぁ...きっと私は、ここで死ぬんだわ...」 「...グスッ...グスッグスッ...」 「こんなことなら、早くVIOの脱毛だけでも済ませておくんだった...ガクッ」 そこっ!?そこなのっ!?と誰もが口を揃えて言うだろう。 「だって、絶対見つかったときは、気絶していて真っ裸。水も食べ物もなく餓死の末の哀れな姿よ...きっと。きっとね、きっと... そうよ...そうに決まってる...!!」 目には涙が溢れているが、 何とも一人で口数の多い女である。 日頃、よっぽど話し相手がいないのか、終始心の中の言葉を口に出す性分のようだ。 一人でどうしようもなく、力尽きて洗い場に座り込み、また睡魔が襲ってきてしまった。 幸い、機密性の高いマンションで、真冬ではないため体温調整はきっと大丈夫だ。 凍死することはないだろう。 「せめて...眠るように死...な...せ...て.........」 グガーッとまた眠りに入ってしまったようだ。この様子なら、まだまだ死なないだろう。 マンションの4階部分のためポンプの吸い上げが上手くいかず、断水とはなっていたが停電は起こっていなかった。 と、そこにドカーンッと玄関のあたりからすごい音が鳴り響いた。 「ひぇっ!!...なにごと!?」 一瞬で眠りから覚めた。 (泥棒か!?泥棒なのか!? そういえば災害後は、どさくさに紛れて民家に窃盗に入る事件がどーちゃらってニュースで言ってたような... それとも殺人か!?無差別なやつか!? この機に乗じて、そーゆうやつか!? えっ...やっぱり、足音が、足音がこっちに向かってくるんですけど...!? そして、私、裸なんですけど...... もう終わりだ。もう終わった。 まぁもういいや...仕方ないし、どうしようもないし、私丸腰だし...まぁそれなりに...いい人生だった...!!) 一人で人生を閉めようとしていたその時、 誰かが、バスルームの前に立った。 透かしガラスのような仕様になっているため相手が見えない... 春呼は、泣きそうになりながら、目を閉じ頭を抱えてうずくまった。 すると... 「ちゃんと離れててよねっ!! でないと怪我するからねっ!!! あ、って言っても、そんなスペースないかっ(笑)お風呂場だしね(笑) せめて、バスタブのなかにでも入ってなよっ!?蓋でも盾にしてよねっ!!」 ガッシャーッンッ!!! とハンマーのようなもので、思い切りバスルームの扉を叩き割った、その目の前には、 可愛らしい小柄な女性がいた。 「もうっ...ほんと頼りないんだからっ!! お姉ちゃんはっ!!!」 「......え?......夏呼(なつこ)......?」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加