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どうにか自力でここから出られる術はないか?と頭を巡らせたが、真っ裸で泡だらけの女1人で出来ることなど、たかが知れている。
「あぁ...きっと私は、ここで死ぬんだわ...」
「...グスッ...グスッグスッ...」
「こんなことなら、早くVIOの脱毛だけでも済ませておくんだった...ガクッ」
そこっ!?そこなのっ!?と誰もが口を揃えて言うだろう。
「だって、絶対見つかったときは、気絶していて真っ裸。水も食べ物もなく餓死の末の哀れな姿よ...きっと。きっとね、きっと...
そうよ...そうに決まってる...!!」
目には涙が溢れているが、
何とも一人で口数の多い女である。
日頃、よっぽど話し相手がいないのか、終始心の中の言葉を口に出す性分のようだ。
一人でどうしようもなく、力尽きて洗い場に座り込み、また睡魔が襲ってきてしまった。
幸い、機密性の高いマンションで、真冬ではないため体温調整はきっと大丈夫だ。
凍死することはないだろう。
「せめて...眠るように死...な...せ...て.........」
グガーッとまた眠りに入ってしまったようだ。この様子なら、まだまだ死なないだろう。
マンションの4階部分のためポンプの吸い上げが上手くいかず、断水とはなっていたが停電は起こっていなかった。
と、そこにドカーンッと玄関のあたりからすごい音が鳴り響いた。
「ひぇっ!!...なにごと!?」
一瞬で眠りから覚めた。
(泥棒か!?泥棒なのか!?
そういえば災害後は、どさくさに紛れて民家に窃盗に入る事件がどーちゃらってニュースで言ってたような...
それとも殺人か!?無差別なやつか!?
この機に乗じて、そーゆうやつか!?
えっ...やっぱり、足音が、足音がこっちに向かってくるんですけど...!?
そして、私、裸なんですけど......
もう終わりだ。もう終わった。
まぁもういいや...仕方ないし、どうしようもないし、私丸腰だし...まぁそれなりに...いい人生だった...!!)
一人で人生を閉めようとしていたその時、
誰かが、バスルームの前に立った。
透かしガラスのような仕様になっているため相手が見えない...
春呼は、泣きそうになりながら、目を閉じ頭を抱えてうずくまった。
すると...
「ちゃんと離れててよねっ!!
でないと怪我するからねっ!!!
あ、って言っても、そんなスペースないかっ(笑)お風呂場だしね(笑)
せめて、バスタブのなかにでも入ってなよっ!?蓋でも盾にしてよねっ!!」
ガッシャーッンッ!!!
とハンマーのようなもので、思い切りバスルームの扉を叩き割った、その目の前には、
可愛らしい小柄な女性がいた。
「もうっ...ほんと頼りないんだからっ!!
お姉ちゃんはっ!!!」
「......え?......夏呼(なつこ)......?」
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