第5話

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第5話

あの日まで私は、人にバカにされないように生きてきた。 いい大学を出て、いい会社に就職し、出世し、結婚した。 世間がいう“幸せ”というやつをそのままやってきた。 まわりの人たちは、そんな私をうらやんだ。 私は他人と比べて、よい人生を歩んでいる。 だから、私は幸せだった。 1f9a58e7-2f73-4b32-83b6-e479466ff863 そんなある日、見知らぬ子どもが私にこう聞いたのだ。 「おじちゃんがほんとうに大好きなことって、なあに?」 突然不安にかられた。 90a9b994-50c0-4aa8-b4a3-a7704b787974 本当に自分が好きなこととは、なんだろうか。人がうらやむ今の生活が、本当にしたいことだったのだろうか。 急に目が覚めた。 私は誰もがあこがれる私の車にのり、エンジンをかけた。 そして、そのまま崖にとびこんだ。 72d67072-35ec-4c79-88cd-1d8666e1a842
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