第44話 朝食会の続き

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第44話 朝食会の続き

 朝ごはんは、野菜たっぷりのスープと、昨日の残りのパンとなったわけだが、朝食の食べっぷりに莉子は驚いていた。 「莉子さん、おかわりしてもいいですか?」  一番最初に立ち上がったのはアキラだ。  すぐにトゥーマもよそい、ケレヴまで……。 「スープ、足りますかね……」 「大丈夫だ。ちゃんと寸胴に作り替えておいた」  莉子は二度見した。  当初は2リッターも入れば、というくらいの鍋だったはずだが、今見れば、4リッターは軽く作ってあったようだ。  材料が追加されていたのはわかっていたが、しっかり先読みできているイウォールに頭が上がらない。 「イウォールさん、ありがとうございます……読みが甘かったです」 「いいえ。私たちは大柄だからか、食が細いように見えても、よく食べるんだ。そうだな、日本の1食分は少し物足りなかったりもする」 「なるほど。では、エルフさん用には多めにした方が」 「それは、だめだぞ、リコ」  横から声をかけてきたのはトゥーマだ。 「エルフだけ別料金となるのもできないだろ? じゃ、サービスで増やす、それじゃ、店に負担がかかる。そこは気にしない方がいい」 「そうでしょうか……」 「外国人が来たからって量を変えたりしないだろ?」 「たしかに……」  莉子は大きく頷くものの、どうしたらと首を傾げるが、アキラがそこに付け足した。 「リコさん、ここのお店に負担がかからないやり方で、おもてなしを増やしましょう。僕たちは1ヶ月しかいないですし、それ以降はリコさん一人になってしまいますし」 「それもそうですね……今のスタンスは崩さずに、少しでも快適になるようにしないといけませんね」  二杯目のスープを頬張るイウォールは、そのやり取りを聞きながら小さく頷いている。  食事を終え、作業に取り掛かろうとしたとき、カフェのドアが叩かれた。  莉子が慌ててドアを開けながら視線を回すが、見当たらない……。 「……え?」 「どこ見てるんだよ、リコ。こっち!」  声は下から届くので、視線を下ろすと、そこには大きなカバンをそれぞれ持ったネコ型少年・ジェイとミーたちがいた。 「仕立ても終えたし、届けに来たよ」 「食器もな! たく、イウォールは人遣い荒いよなー」  それぞれに喋りながら、カフェの店内へと入っていく。  小さな後ろ姿をみながら、どうも異世界の人たちは、マイペースのような気がしてならない莉子がいる。
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